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Japan Agricultural Machinery Manufacturers Association(JAMMA)

V.農機用オイル

1.エンジンオイル

[エンジンオイルの役割]
・潤滑・・・・・・・シリンダー、ピストンリングなどの金属同士の摩擦を油膜でおさえます。
・清浄・・・・・・・エンジン内部に発生する鉄粉や燃えかすなどの汚れを包み込みます。
・衝撃吸収・・・ピストンなどの衝撃をおさえて、振動や異音の発生をおさえます。
・密封・・・・・・・ピストンとシリンダーの間の隙間をふさぎ、パワーロスを防ぎます。
・冷却・・・・・・・燃焼や摩擦で高温になるエンジンの熱を冷却します。
・防錆・・・・・・・水蒸気などによる錆を防ぎます。



[エンジンオイル規格]
1)API規格
  API規格は、米国石油協会(API)と米国自動車技術者協会(SAE)、そしてアメリカ材料試験協会
 (ASTM)の三者が定める規格です。
  ガソリンエンジン用は「S」、ディーゼルエンジン用は「C」で始まり、アルファベットが進むほど、
 その年代に合わせた性能要求が高くなっていきます。




(2)JASO規格
  2015年5月に(公社)自動車技術会によって主にディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)が
 装着されたディーゼル車のために制定したエンジンオイルの規格(M355:2015)では以下
 の2種類があります。 ※他にDL-1もあるが乗用車用であり、農機には使用されていない




[エンジンオイルの粘度]

 使用場所の条件(外気温等)に応じて目安に選択します。



  ※エンジンオイルの交換、補充については取扱い説明書を確認いただき、機械に適した指定
   のオイルを選択してください。性能を発揮できなくなる場合があります。
   尚、不明な点、より詳しい説明を希望の場合は、お買い上げのお店にご相談ください。


2.トランスミッションオイル

[トラクタの構造と使用されるトランスミッションオイル]




[トラクタオイルの特徴]



      ※3 ATF;オートマチックトランスミッションフルード
      ※4 MTF;マニュアルシフトトランスミッションフルード


[トラクタオイルに求められる基本性能]
 −耐摩耗性
  高負荷、高トルクからギヤやクラッチを保護
 −冷却作用
  高トルクによる発熱の緩和
 − 洗浄作用
  ギヤやベアリングを洗浄 
 −防錆、防食作用
  シーズンオフの長期不使用時もミッションパーツを保護  ←長期間の保存が常識!
 −油圧作動油としての性能
  パワーステアリング、作業機昇降装置、フロントローダの油圧作動油をミッションオイルと兼用


[TOU]
 農業機械のトランスミッションには一般にTractor Oil Universal(以下TOU)が使用される。
 TOUとはエンジンを除くギヤ・軸受等の潤滑と油圧作動を兼用する潤滑油である。つまり、トランスミッション、差動装置、作業機昇降油圧装置、パワーステアリング、湿式クラッチ・ブレーキ、最終減速等の潤滑、または作動を同一油種で担っている。TOUは農業機械特有の高負荷に耐える極圧性が必要なのは言うまでもないが、油圧制御が複雑化する中で使用温度が高くなる傾向にあり,高い熱安定性と酸化安定性,さらにシール部材であるゴムとの相性が求められる。
 また、農閑期には長期間格納されることが多いが、トランスミッション内に発生した結露水に起因する錆やブレーキの鳴きを防ぐ必要がある。こうした性能に加え、近年のTOUは油圧制御の精度向上や省燃費のため、低粘度化や摩擦係数の安定化が進んでおり、農業機械の性能を最大限に発揮するためには専用のTOUが不可欠となっている。

[ギヤオイル]
 ギヤと軸受の潤滑を主としているトランスミッションやギヤケースにはギヤオイルを使う場合がある。APIギヤオイルサービス分類はGL-4又はGL-5、SAE粘度番号はSAE80W又はSAE90相当である。しかし、一般にギヤオイルはTOUに比べて低温流動性に劣り、農業機械に多用されている油圧機器に対して、作動不良の原因となる場合があるため、限定された目的で使用されている。

[STOU]
 TOUに対し、Super Tractor Oil Universal(以下STOU)はエンジンオイル性能を付加したあらゆる潤滑、油圧作動を兼用する潤滑油である。国内で販売されているSTOUはAPIエンジンオイルサービス分類でCD/SD、SAE粘度番号はSAE10W-30やSAE15W-30、APIギヤオイルサービス分類はGL-3又はGL-4、SAE粘度番号はSAE80W又はSAE90に相当するものが多い。




3.作業機用オイル


[トラクタ用の作業機]
 農機用の作業機は、機種により多種多様のものが存在しています。ここではトラクタを事例に作業機と使用油種の一例を掲載します。

                       作業機の例

[インプルメントの給油メンテナンスについて]
 ギヤケースやチェンケースを有するインプルメントは、適切な潤滑性を確保する為に定期的なオイル交換が必要です。また摺動部分へは、摩耗を防ぎ円滑な作動の為、適宜オイルやグリスの注油が必要です。トラブル予防の為には、日常の点検を確実に実施する事が重要で、これら点検及び、交換・注油の時期や量、油種についは、各インプルメントメーカの取扱説明書に記載された指定内容通りに実施をして下さい。ここでは、トラクタ用インプルメントを代表し、ロータリの給油事例を掲載します。


                        ロータリの例

[農業専用作業機用オイル]
 農業用途に使用される専用作業機も多種多様の機械が存在し、使用されるオイルも様々あります。
 機械と油種の一例を記載します。

                       専用作業機の例

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